谷川俊太郎エトセテラリミックス

谷川俊太郎エトセテラ リミックス

谷川俊太郎エトセテラ リミックス

谷川俊太郎さんの詩やショートショートや台本(ラジオ番組・映画)が収録されている本。才人ぶりを発揮しています。
赤塚不二夫さんとのコラボ 劇画詩集《自分タチ》が気に行ったので抜書きメモ。

自分トフタリッキリデ暮ラスノダ
自分ノパンツハ自分デ洗ウノダ
自分ハ自分ヲ尊敬シテイルカラ
ソレクライナンデモナイノダ
自分ガニコニコスレバ
自分モ嬉シクナッテニコニコスルノダ
自分ガ怒ルト自分ハコワクナルノデ
スグニ自分ト仲直リスルノダ
自分ハトッテモ傷ツキヤスイカ
自分ハ自分ニ優シクスルノダ
自分ノ言ウコトサエキイテイレバ
自分ハ自分ヲ失ウコトハナイ
自分ハ自分が好キデ好キデタマラナイ
自分ノタメナラ生命モ惜シクナイ
ソレホド自分ハスパラシイノダ

自分ノオナカガスケバ
自分ハ自分ニ御飯ヲ
食ベサセル
自分ノオ茶碗ノ中ノ
自分ノ米粒ヲ
自分ノ手ニモッタ
自分ノオ箸デ
自分ノ口ニ入レ
自分ノ歯デヨクカンデ
自分ノ胃ニ送ル
自分ノコトハミンナ
自分デスル
コンナ自分デ自分は
本当ニ幸セ!

『現代詩入門問答』は詩人になりたい男と谷川俊太郎本人の交わす架空対談。とても面白く読みました。さわりをちょっと・・・

男:でも小説書かない。
私:書けない。
男:どうして詩なんですか。
私:詩の如きものというべきだな。つまり、おれ、長いもの書くの面倒くさいの。子どものころも百メートルは速かったけど、マラソンは全くダメ。字も下手だし。小説みたいに人間世界をごちゃごちゃ書くことに興味もてないんだな。おれは大体理屈こねる人より無口な職人みたいな人のほうが好き。
男:言葉で他人にかかわってるくせに?
私:なんて言うのかなあ、自分で自分のやってることを解説できないような仕方で言葉を発したい。つまり自分でもよく分からないような深みから言葉を発したいのかね。
男:意識下の世界ってこと?
私:それもある。でもおれにとっては、おれ個人の意識下っていうより、日本語のもってる意識下。

ずっと飛んで・・・

男:ぼくはね、ほんとのことを書きたいんですよ・
私:おれだったそうだよ。
男:どうすりゃほんとのこと書けるの?
私:見栄はんなきゃいいんだよ。自分のダメさ加減を正直にみつめる勇気と知性。でもこれはおっそろしくむずかしいな。
男:インスピレーションは関係ないの?
私:インスピレーションてのは、他者の声を自分の中に吸いこむことだよ、ゲーリー・スナイダーの受け売りだけど。
男:他者って他人のこと?
私:だけじゃなくて、鳥やけもの、魚や樹や、星も含めて。狭小なるエゴに風穴をあけてやんなきゃならないってさ。
男:オルフェの如く。