クヴィエタ・パツォウスカー ―紙のおしゃべり―展


昨日は光栄にも、ちひろ美術館のプレス・ブロガー内覧会にお招きいただきました。ブロガーを招待するのはちひろ美術館としても初の試みだそうです。
《クヴィエタ・パツォウスカー展》は3月1日(日)から5月18日(日)まで。初山滋展が終わってから昨日までは展示替えのため休館中だったので、館内は放課後の学校や夜の水族館みたいに特別な雰囲気でした。展示室をひとり占めする時間もあり、すご〜く贅沢な経験ができました。
普段は撮影禁止ですが、全体の雰囲気写真なら・・・と撮影許可していただけました(*^^)v

展示室2の入ってすぐの壁面 パツォウスカーさんからFAXで送ってもらった文字を拡大して制作したそうです。シャープで魅力的な書き文字です。
プラハ生まれのパツォウスカーさんは現在85歳。ナチスの台頭でオペラ歌手だったお父様を殺され、13歳から4年間は学校に通えなかったそうです。
「そんなつらい経歴をお持ちなのに、本と絵と音楽に囲まれて幸せに過ごした子ども時代を創作の泉にして、常に生きる喜びを表現する方なの。ちひろ美術館のスタッフはみんなパツォウスカーさんの大ファンなんですよ。」と学芸員さんが教えてくれました。印象的な赤は命の輝きの色、生への賛歌なのだなぁと思いました。

お話をうかがって、石井桃子さんの有名な言葉
 子どもたちよ
 子ども時代をしっかりと
 たのしんでください。
 大人になってから
 老人になってから
 あなたを支えてくれるのは
 子ども時代の「あなた」です
と、先日講演会で聞いた谷川俊太郎さんの《人生は右肩上がりの直線ではなく、年輪のようなもの。創作は自分の中の子どもをどこまで解放できるかにかかっている》というお話がつながりました。

近作中心の今回の展示作品は《あそび》《おはなし》《紙のおしゃべり》《いろのおと》《かたちのふしぎ》の5つのテーマに分けられていました。
《おはなし》コーナーの「ヘンゼルとグレーテル」「シンデレラ」は大胆!素敵!エネルギッシュ!色調は全然違いますが、大竹伸朗の絵本を連想しました。現代美術家であり、コラージュの名手であることもちょっと共通点があるかな?
大竹伸朗について以前書いたものです↓
http://d.hatena.ne.jp/fumfum235/20130827/1377610166


台の上にのっている蛇腹絵本は『日々の色』という作品です。長〜い!穴があいていたり、山折りの部分が顔になっていたり、子ども心をくすぐる作りでした。展示台の後ろに横長の鏡を置いたら、もっと迷宮っぽくなるかも?
パツォウスカーさんは子どもの時から、曜日には色があると信じていたそうです。ちなみに金曜日はシナモン色。アルチュール・ランボーのAは黒、Eは白、Iは赤を思い出しました。音が聴こえたり、動いて歌っているような共感覚的なものを感じる作品が沢山ありました。
内覧会では原画を見るだけで精いっぱいだったので、いいただいた招待券を使って、次回はじっくり絵本の方をみたいと思います。印刷所の方々の努力あっての絵本。パツォウスカーさんの作品は箔が貼ってあったり、切り込みがあったり、月の顔がくりぬいてあったり・・・製作原価が高いので販売価格も高くなり、残念ながら、絶版になりやすいと教えていただきました。
ちひろ美術館(東京&安曇野)でのパツォウスカー展開催は通算7回目になるそうです。作家と美術館、学芸員さんたちのあたたかい信頼関係が伝わってくる展示内容でした。


カフェでは期間中チェコのお菓子《ターチェ》がメニューに加わるそうです。チェコセンター代表の高嶺エヴァさんが発音と表記を教えて下さいました。エヴァさんの日本語が穏やかで素敵でした。見習いたいと思いました。ターチェにはブルーベリーと杏が入っています。しっとりした生地の甘みと果実の酸味のバランスが絶妙。Yチェア(ハンス・ウェグナーの名作椅子)の座り心地もGOOD。カフェオレも美味しかったです。おススメ!
会場にツイードのジャケットがお似合いの若くてカッコイイ男性がいらっしゃるな〜と思ったら、パツォウスカーさんの大ファンという三浦太郎さんでした。4月20日(日)に高嶺エヴァさんとのトークイベントがあるそうです。
私が働いている保育室では三浦太郎さんの『くっついた』が大人気。

くっついた

くっついた

最終ページに見入るうれしそうな子どもの顔・・・たまりません!