訃報:E・Lカニグズバーグ

ロールパン・チームの作戦 (岩波少年文庫)

ロールパン・チームの作戦 (岩波少年文庫)

朝刊を読んでいたら、小さな訃報に気がつきました。
E・Lカニグズバーグさん(米児童文学作家)AP通信によると19日、米バージニア州で死去、83歳。
ニューヨーク市生まれ。約20冊の児童文学小説を発表し「クローディアの秘密」と「ティーパーティーの謎」で米国の優れた児童文学に贈られるニューベリー賞を受賞。
 朝日新聞 4月24日(水)
イギリスのフィリッパ・ピアスさんと並んでとても好きな作家です。フィリッパ・ピアスの作品は土の匂いがしますが、カニグズバーグの作品はニューヨーク生まれだけあって、都市の香りがすると思います。ユダヤ人で科学教師だったという経歴のせいもあるのかな?
カニグズバーグ作品では、こましゃくれた子どもが躍動します。賢くて自意識過剰で時に傷つきやすい子どもたちが大好き。成績優秀すぎて、アスペル君気味な子も良く出てきます。私は初恋の人が「ひょっこりひょうたん島」のハカセなので、いまだにそういうタイプの男の子に弱いです(笑)
「ロールパン・チームの作戦」は本当は「ベーグル・チームの作戦」なのだと思います。翻訳が出た時は日本ではまだまだベーグルは一般化していなかったので、このタイトルらしいです。そろそろ改訳が出るかもしれませんね。
『ぼくとジョージ』『800番への旅』『エリコの丘から』も好きだな。ユダヤ人の子、ヒッピーの子、韓国人の子・・・マイノリティの子たちが重要な人物として生き生きと登場しています。思えば『クローディアの秘密』とニューベリー賞を競ったという『魔女ジェニファとわたし』のジェニファも黒人の少女でした。少数者への共感を強く、深く持ち続けた人なのかもしれません。
ちょっとベン・シャーンっぽいシャープな線のイラストをご自分で描いている作品も多数あります。下の『魔女ジェニファとわたし』の表紙にご注目。
魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)

魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)