私の中の自由な美術

上の本を読みました。美術作品を見るってどういう経験なのかな?美術館ってどいう場所なのかな?ということを具体例をあげつつ、脳科学や認知論も取り入れつつ論じています。心に残った一節を以下抜き書き。
 
大原美術館である日のこと、モネの《睡蓮》を見ていた保育園児に「何が描いてあるかな」と学芸員が声をかけたところ、ひとりの男の子が「あっ、かえるがいる!」と目を輝かせて絵を指さした。
 絵のどこを探してもかえるは見つからない。この絵のことを熟知している学芸員は、子どもの発言を訝しく思い、「えっ、どこに?」と尋ねてみると、その子は「どうしてわからないんだろう」という顔で、「今、水にもぐっているよ」と答えたのだった。それを聞いた学芸員は「はっ」と気がついた。この子には描かれていないものが見えている。絵は人によって見方が違う。この子は自分なりの見方でこの名作を鑑賞している。その事実を改めて突き付けられたことが衝撃だった。子どもが見ているのは彼の脳が解釈した《睡蓮》だったのだ。
 以来、大原美術館ではこの「かえるがいる」という言葉を、教育普及の原点ととらえるようになった。


これが大原美術館所蔵 モネの《睡蓮》です。
        
あれ?このエピソードって、『星の王子さま』の有名な一節を思い出させませんか?うわばみに飲み込まれたゾウも箱の中のひつじも王子さまにははっきり見えたのでした。

子どもはすごい。子どもの一言にしっかり耳を傾けて反応した学芸員さんたちにも拍手。保育士として見習いたいです。