頭山


酒井駒子山村浩二ふたつのとびら展』
http://konicaminolta.jp/plaza/schedule/2010november/ehon/index.htmlに行ってきました。

酒井駒子さんの描く子どもは何歳何カ月まで特定できそうな感じ。デッサン力があるんですね〜。いわさきちひろの描く子どもは純粋なモンゴロイドですが、こちらは1/2か1/4コーカソイドが入っている気がします。手足が細長く、後ろ頭が丸いせいかなぁ・・・。

前々から見たいと思っていた山村浩二の短編アニメーション『頭山』を初めて見ました。考えたら、YouTubeで探せば見れたんですね。。。でも、見なくて良かった〜!画面の大きさや音質が違うので、受ける印象が全然違いました。
『頭山』は落語が原作。ケチな男がもったいなくて飲み込んださくらんぼの種から頭の上に桜の木が生えて、花見客がやってくる。うんざりして、桜をひっこ抜くとその穴に雨水が溜まって池になり、またまた釣り人がやってくる。ついに世をはかなんで、自分の頭の池に身投げして死んでしまうとういうシュールな噺。徒然草の第45段『掘池の僧正』がルーツという説もあるそうです。徒然草ではただのニックネームの話で、頭の上に池が出来たりはしませんが、私は中学の国語で学んだこの話を頭の中で改ざんして、すっかり頭山系の話だと思いこんでいました(笑)
『頭に柿の木』という同じ系統の民話もあります。こちらはなまけものの男が頭にくっついた柿の種を取らずにいると頭に柿の木がはえ、柿を売れば同業者の恨みをかって、木を切られてしまう。その切り株に茸がはえたので、それを売るとまたまた同業者の恨みをかって、切り株をぬかれてしまう。するとその穴に雨がたまって池になり、魚が大漁。魚売りになるとまたまた同業者の恨みをかって、土で埋められてしまう。仕方がないので田植えをすると、秋には豊作。いつの間にか働き者になって、お大尽になったとういうハッピーエンド。
この手の大きさの枠組みを越境するホラ話は絵で見せられるより、聴いて好き勝手に想像する方が合っているとは思いますが、『頭山』は国際的なアニメ賞を沢山取っただけあってとても魅力的でした。浪曲師の国本武春のナレーションがぴったり。そして、身投げシーンの眩暈感はキューブリックの『2001年宇宙の旅』を連想しました。ミルクの缶に描かれた少女。その少女が持っているミルクの缶にも少女が描かれ、その少女もまたミルクの缶を持っていて、その缶にもまた少女が・・・そんな合わせ鏡のような永遠性を持ったシーンでした。10分の作品とは思えない重量感でしたよ。