萩尾望都原画展@池袋西武ギャラリー


 萩尾望都との出会いは小5の時。英語塾で読んだ『なかよし』別冊附録の『ケーキ ケーキ ケーキ』。(この作品は原作者が別にいます)本格的な遭遇は中1の時。当時の私は集英社の『マーガレット』(「ベルサイユのばら」が始まってた)&『りぼん』(一条ゆかり陸奥A子が大人気)派だったのですが、たまたま友だちのKちゃん(その後マンガ家になったよ)が貸してくれた別冊少女コミックで『ポーの一族』を読んで、それまで読んできたマンガとのあまりの違いにびっくり!歯医者さんに行った時に待合室でベンチの上に置いてあった別コミの『ポーの村』に必死で読みふけっていたら、それは患者の女の子の私物だったという恥ずかしい経験まであります。
 中2で長野県大町市に転校し、転校した先でまたまたマンガ好きの友だちと仲良くなり、『みつくにの娘』や『あそび玉』を読ませてもらいました。(Tちゃんありがとう!!!)小学館の少女向けコミックス(単行本)は『ポーの一族』が最初だったので、別の友だち(Hちゃん)と別冊少女コミック掲載作品とコミックスをつき合わせて、どこに加筆したかチェックしたりしました。なつかしいな〜。当時はまだ《おたく》という言葉はなくて、《マニア》とモーさま(萩尾望都のニックネーム)はコミックエッセイに書いていましたが、私もいっぱしのマニアだったのかな?
 原画展には同じ年齢層(アラフィフ)の女性が平日にもかかわらず大勢詰めかけていました。熱心にのぞきこみ、「このペンタッチが・・・」とか「ホワイトが・・・」とか「(『ビアンカ』の原画を見て)画力が抜きんでてたわよね・・・」とかヒソヒソささやいています。カラー原稿は印刷されたものは光沢感で原画の良さがかなり損なわれているのですが、「それなら、自分で描けばいいじゃない(模写すれば〜という意味だと思う)」と友だちに言っている人もいて、きっとここにいる人たちの大部分は一度は「マンガ家になりたい!」と思ったことがあるんだろうなぁと推察しました。
 娘と一緒に行ったので、「どの時期の絵が好き?」と聞くと、「初期の方が好き。『トーマの心臓』とか。後期ポーシリーズ(『エヴァンズの遺書』〜)以降の絵は上手いけど、肉体が生々しい感じで苦手。『小鳥の巣』の見開きの扉絵がすごく好き。」と答えました。やっぱり親子だわ〜。私は今ではどの時期の作品も好きになりましたが・・・。『グレンスミスの日記』『半神』『イグアナの娘』『A−A'』『百億の昼と千億の夜』『マージナル』あたりが特に好きな作品です。どこかしらに世界との不具合をかかえつつ、何とか折り合いをつけて生きている人々のおはなしが多いですね。声高でも破滅的でもないけれど、萩尾望都は常にアウトサイダーの側の作家だと思うな。