富岡鉄斎展


今日はつれあいと一緒に出光美術館に行き、《富岡鉄斎展》を見てきました。快男児って言葉はこの人のためにあるんじゃないかな?良く生き、良く交わり、良く学び、良く描いた人。作品の隅々から作者の生きる喜びが光となってあふれてくる感じ。
40歳代の作品である《秋山深趣図》の画讃に心を動かされたので、受付で鉛筆をお借りして、メモしてきました。
  
  歳月は本(もと)より長し。
  而(しか)れども忙(せわし)き者は 自ら之を促す。
  
  天地は本より寛(ひろ)し。
  而れども 鄙(いや)しき者は 自ずから之を隘(せま)くす。


  風光雪月は本より間(しずか)なり
  而れども 労嚷する者は 自ずから之を冗(うるさ)くす。


  総(すべ)て足るを知らざるに因るなり。
  
 儒学者である鉄斎は絵を見る前に画讃をしっかり読んで欲しいと希望していたそうです。漢文を読み下す能力はないので、読み下し文の展示はありがたかったです。読み下し文を読んでも、意味ちんぷんかんぷんも多々ありましたが・・・。(>_<)

絵として好きなのは、断然85歳を過ぎてからの水墨画群でした。仙境に遊ぶという雰囲気です。
手前にアーチ状の門や橋、川、東屋(などの建築物)、滝、蓬莱山が山水画の基本的な図像構成なのだそうです。アーチ状の門や橋が異界へのトンネルを現わしているそうです。そうだったのか〜!これまでアーチには気づいていませんでした。
特に気に入ったのは《高士弾琴図》《梅華邨荘図》《蓬莱仙境図》。
《蓬莱山図》の画讃は
  我れは是れ 玉皇香の吏 閑居して猶お 小蓬莱を得たり 

鉄斎さん、画の中の仙境に入ることが出来たのでしょうか?長生きはするものですね。

人物画も生き生きしていて、遊び心満載で面白かったです。
《竹田翁閑栖図》には書斎で脇息に寄りかかりながら、詩文を練る田能村竹田が描かれているのですが、画面の左上に色紙が描かれていて、中には
 まだきえぬ 
 つゆのこの身のおき所
 (花・・・絵文字で表現)のみよしの
 (月・・・絵文字で表現)のさらしな
という竹田の短歌が書いてあります。
そして竹田がいる部屋の中に掛け軸の一部が描かれていて、そこに鉄斎の署名や印 描いた日付などが小さく書き込まれているのです。そういう遊び心って好きだな〜。

《放牧桃林図・大平有象図》ものびやかで気持ちの良い作品でした。

出光美術館に行く時は営団地下鉄日比谷駅で降りるのですが、いつも出口を間違えて、ここはどこ?私は誰?になってしまいます。記憶強化のため、出口の写真を撮ってきました。

もう迷わないゾ!

そして、もう一点、自分のためのメモ。夏の美術館は作品保護のため、エアコンが強力!羽織りものとストールが必需品。冷え性の方ご注意ください。(^_-)-☆