セラピスト

セラピスト

セラピスト

中井久夫精神科医)の風景構成法河合隼雄ユング派心理学者)の箱庭療法に多くのページが割かれていました。同じように心を扱い、その回復に携わる仕事でありながら、立ち位置の違いがわかりにくい心理職の色々を丁寧に追った内容でした。
最相葉月さんと言えば、『絶対音感』が有名ですが、私にはこの本の方が興味深かったです。ご自身が一種の躁鬱病と診断された体験も公にして、自分ごととして書いている度合いが高いことに心を動かされました。
もっとも、『絶対音感』も五嶋みどりとその母の一種の共依存関係がメインテーマだったのではないかと思っていますが・・・。最相さんご本人も母との関係が難しかったのではないかな・・・と『セラピスト』を読んでまた思いました。

河合隼雄さんは文化庁長官も務めましたが、基本はクライアントと一対一で向き合うセラピスト。
人とマス(集団)で捉えるのではなく、ひとりひとりを見るまなざしと想像力を持つ人に政治家になって欲しいと今切実に思います。利便を図ればそれなりのお返しがくる有力者だけを人と見て、それ以外の有象無象はアウトオブ眼中!ではなく。

力はまったくないけれど、ひとりひとりと向きあう保育の仕事に携われて、うれしいなと『セラピスト』を読んで思いました。

そして、ますます中井久夫さんのファンになりました。
この本もおすすめです。

こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく)

こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく)

http://d.hatena.ne.jp/fumfum235/20110731