東山魁夷


学生時代、東山魁夷は好きな画家でしたが、「あまりにも終始一貫して魁夷調なのではないか」と気持ちが離れた時期があります。
ところが、数年前、講談社野間記念館で東山魁夷が描いた月刊雑誌の表紙の原画を見て、その迫力にびっくり。昭和30年代の作品だったと思うのですが、東山魁夷自身の取材旅行記も紹介されていました。今よりずっと交通が不便な時代に驚くほど頻繁に旅行していました。その地に足を運んで、実感を込めて描くことを大切にされたのだなぁと心を打たれました。
白鳥の水面下の足を動きを垣間見た感じ。
http://izucul.cocolog-nifty.com/balance/2006/03/post_26f5.html
この方のブログによると、雑誌「日本」の表紙のようです。
私が一番気に入ったのは、茶色い道の上に白い絵具をパレットナイフで厚塗りして雪解け道を表現していた絵でした。こんな洋画っぽい手法も使うんだ〜と驚きました。
雑誌の顔である表紙の絵をどれだけ期待以上に仕上げるかという東山魁夷の職人魂に魅せられた経験でした。
東山魁夷の代表作は山種美術館でかなり見ていました。けれども、商業用の小品がガツンと胸に響くこともある。相性なのかタイミングなのか、出会いって面白い。

上の絵は東山魁夷で画像検索したら一番に出てきた《緑響く》です。誰もが心の奥に持っているあこがれの風景を描いているから国民的人気があるのでしょうね。生意気盛りのかつての私にはそこが通俗的にも見えたのですが・・・。