続・風の帰る場所

インタヴュアーは渋谷陽一さん。洋楽の評論家でもあります。今でも20代の頃聴いていたFMラジオから流れる「こんばんは。渋谷陽一です。」という少年っぽい声が耳に残っています。
『風の帰る場所』は1990年〜2001年までのインタヴューを収録。作品的には『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで。『続・風の帰る場所』は2008年〜2013年までを収録。作品的には『崖の上のポニョ』から『風立ちぬ』まで。
渋谷さんが撮影した宮崎駿の写真がすごく魅力的。写真嫌いで有名な人が、こんな笑顔をレンズに向けるってことは、語り手と聴き手の間に信頼関係が築けているのでしょう。続のポートレートはどことなく森繁久弥さんに似ています。続には『風の谷のナウシカ』以前に『アニメージュ』編集部などによって行われたインタヴューも収録されています。東映動画入社から『太陽の王子ホルスの大冒険』『パンダコパンダ』『アルプスの少女ハイジ』『未来少年コナン』『ルパン三世カリオストロの城』等々・・・時間があったら見直したいアニメがいっぱい出てきました。『風のフジ丸』や『狼少年ケン』のスタッフも勤めていたそうです。懐かしいな〜。この二作品は毎年夏休みになると再放送されたいたなぁ・・・。
未来少年コナン』について語った章でみつけた言葉。
 僕はマンガ映画というのは、観終わった時に解放された気分になってね、作品に出てくる人間たちも解放されて終わるべきだという気持ちがある。出てくる人間たちが無邪気になったというのが、僕は好きなんですよ。
そんな訳で、ラナもモンスリーさんも初めて画面に登場した時より、コナンと出会うことで、より自分らしくかわいらしい人物像に変化したのだそうです。
ラナのお祖父さんのラオ博士について語っている
 毛沢東にしろ何にしろ、歴史を動かしていこうとするのは悪人だから、ラオ博士は悪人だと思う。という言葉も印象的でした。
年を重ね、キャリアを重ねるにつれて、喰えないおっさんぶりが魅力となった宮崎駿ですが、このインタヴューでは、登場するキャラクターへの並々ならぬ感情移入ぶりなども披露していて、初々しく感じました。悪役レプカへの愛を語った部分を読むと、『ナウシカ』のクロトア(悪役じゃないけど・・・)や『ラピュタ』のムスカがある意味、主役以上に魅力的な理由がわかる気がしました。愛だろっ愛!