栗の花

朝起きて、リビングのサッシを開けた瞬間、「う・・・臭い・・・」2階のベランダから見下ろすと、栗の花が咲きはじめていました。ちょっと独特の匂いですよね。
この花の匂いには国語の先生の思い出があります。
中2か中3の時の国語の先生は風采の上がらない、中年男性でした。生徒には不人気で、淡々と授業をすすめるタイプだったと思います。
井上靖の「夏草冬濤」の一部が教科書に載っていたのですが、主人公が栗の花の匂いを感じるシーンがありました。(記憶で書いているので間違っていたらすみません)先生は栗の花の匂いは精液の匂いと似ているといわれていることを婉曲に語り、栗の花の匂いを表現することは主人公の思春期特有の心情と響き合っているのだ・・・というような解説をされたと記憶しています。そんなことは指導要録に書いていないでしょうから、先生個人の解釈だったのでしょう。40年もたって、今思い出すと、中学生相手に本気だしてるなと感心します。
教わっていた時は意味が良くわからなかったのに、大人になってから、先生の言葉をふと思い出したり、その意味に思い至ることがたまにあります。そして、そんな不思議なくらい長持ちする言葉を発した先生には知の時限爆弾をしかけてくれてありがとうと感謝したい気持ちでいっぱいです。