ジェインのもうふ

ジェインのもうふ―アメリカのどうわ

ジェインのもうふ―アメリカのどうわ

4月入園の0歳児さんがガーゼのハンカチを握りしめ、鼻のあたりにスリスリしながら寝入る様子を見て、読み返したくなりました。
ジェインという女の子が〈もーも〉というピンク色の安心毛布からどう卒業していったかという幼年童話。赤ちゃんの時から大好きだった〈もーも〉はジェインが小学生になると小さくボロボロになり、最後は小鳥が糸を一本一本引き抜いていって、巣に持ち帰り、小鳥の赤ちゃんをあたためる役にたつという筋です。
戯曲『セールスマンの死』で有名なアーサー・ミラー作。〈もーも〉とのしあわせなお別れはフィクションだと思いますが、なんだか実体験をもとにしたお話っぽい感じがします。アーサー・ミラーにはお嬢さんがいたのかな?

父と娘の会話を抜き書きしてみました。
「ジェインだって、うれしくないかい?あかちゃんのときにつかったものを、ひとにゆずれるくらい、おおきくなったんだからね。」
「とりのあかちゃんをあったかくしてあげるために、もーもをゆずるのね。」
「そのとおりだよ。」
またしばらくかんがえてから、ジェインはこういいました。
「とりのすのなかにあっても、もーもはやっぱり、あたしのものかしら。」
「そうだよ。ジェインがもうふのことをおぼえているかぎりね。ジェインがもうふのことをおもいだすと、もうふは、また、ジェインのものになるんだよ。」

リビングルームが〈おちゃのま〉だったり、オーブンが〈てんぴ〉だったり、スプーンが〈さじ〉だったり、ちょっと古風な訳に時代を感じました。この本は1971年に偕成社から出版されました。40年以上前です!
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見栄で訂正しちゃいましたが、「セールスマンの死」を最初「サラリーマンの死」って書いてUPしていました。ブキャ。。。