大槌町に行きました その2


園に到着すると、早速、保育補助に入らせていただきました。3日間といっても、初日は昼食の片付けから始まり、最終日は午睡までで終了でしたので、物の置き場と子どもたちの名前を覚えることで精一杯でした。何度も質問したり、失敗したりの連続でしたが、先生方は常に暖かく対応してくださいました。
圧倒的に人手が足りていない中でも、子どもの思いを丁寧に汲みとり、トラブルがあっても頭ごなしに叱ることはありませんでした。方言のイントネーションがとてもやわらかく、聞いていてうっとりさせられました。東京で子どもに向かって「ダメでしょ。」「何でそんなことするの?」「早くしなさい。」という言葉がついつい出ていた自分が恥ずかしかったです。
二日目の午睡タイムに「その子はなかなか眠れない子なので添い寝してあげて下さい。」とアドバイスしてもらったので横になってみるとその子は私の首に手を回して、しばらくして眠りにつきました。先生方はみんな添い寝して子どもたちにぬくもりと安心を伝えていました。

最終日は翌日に控えた運動会の練習のため、2歳児〜5歳児はウルトラマンバス(園バス)に乗って稲穂公民館に移動しました。室内(小さな体育館)で行うので例年よりは小規模だそうですが、競技のための小物を製作し、工夫を凝らして運動会の準備をすすめていました。子どもたちは真剣に参加していました。閉会式で全員が踊っていた「ひょっこりひょうたん島」(大槌湾の蓬莱島はひょうたん島のモデルだそうです)や「ありがとうの花」に目頭が熱くなりました。本番では終了後豚汁がふるまわれるそうです。コミュニティーの中心として、保護者のみなさんを力づけるためにも運動会をされるのだなと思いました。

過酷な体験をくぐりぬけてきた、先生方の結束の固さ、お互いを思いやっての仕事ぶりは本当に素晴らしかったです。一軒家を宿舎に提供して下さり、「ここは風の名所なんですよ。ちゃんと眠れましたか?寒くなかったですか?」と心配して下さったり、運動会前の忙しい中、当番制で宿舎から保育園まで車で送迎して下さったり、本当に先生方にはお世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。
9月から再開したばかりの給食はとても美味しかったです。ご馳走様でした。3日目の昼食のおかずに昆布巻きがあり、口から昆布を帯状にたらしてからスルスルと吸いこんでいた女の子(2歳児さん)がいました。大槌町では毎朝6時に「われは海の子」が色々な演奏バージョンで流れるそうですが、この子たちはまさに海の子なんだなぁと思いました。

2泊させていただいた宿舎の近くの小槌川。美しい清流ですが、津波で水位が上がって溢れたのでしょう。襖にくっきりと水の跡が残っていました。