こんな時わたしはどうしてきたか

こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく)

こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく)

猛暑が一休みして、梅雨に戻ったかのような天候が続いています。

7月も節電効果があって、377kwhでした。前年度は605kwhだったので、前年度比62%ってところです。お鍋でご飯を炊くのはかなり省電力になるようです。毎日微妙に炊きあがりが違うことが面白い!と子どもたちには好評です。

『こんな時わたしはどうしてきたか』は精神科医 中井久夫さんの医療関係者向けの講演をもとに構成した本。臨床経験に基づいた智慧が惜しげもなく披露されていて、精神医療の範囲にとどまらず、ケアする仕事一般に応用できる内容です。
受診を拒む患者さんを病院に連れくるために説得に行く時の準備と心得、内心後ろめたく思っている家族の方への配慮。。。興奮している患者さんの利き手側に座って、合気道の原理で肘を押さえて興奮が鎮まるのを待つ方法。。。入院中のベッドの位置による、回復の差(三床だったら、真ん中の患者さんの回復は遅いそうです)。。。環境や色彩のこと。。。話言葉なのでとても読みやすく、巻末の索引には単語だけでなく、印象的なセリフがそのまま載っていたりして、実用的。索引には編集者さんの意気込みを感じました。
精神科の入院病棟に常に一定の空き病床を確保して、退院した患者さんに悪くなったらいつでも戻れる安心感をもってもらうと、外来診療ですむことになり、結局は入院患者を減らすことになったという部分が特に面白かったです。空き病床が多いことは、一見経営効率が悪いようでいて、実は入院の長期化を防いで医療費を大幅に削減していたということ。無用の用とでも言うのでしょうか?そういう事って他にも沢山ある気がします。ひととき保育とか病児保育ももしもの時に確実に預かってもらえるという安心感があると、子育ての負担感ってかなり違ってきそうです。
中井久夫さんの本は娘が習っていたピアノの先生から勧めてもらったので、私もポツポツと読みはじめました。精神科医としても、翻訳家としても、文章家としてもすばらしく有能な方ですが、文中で自慢話をしてもエレガント!というところが私にとってはポイント高いです。