たったひとつの・・・


勤務先の保育室には沢山のおもちゃが用意してありますが、複数あるものより、ひとつしかないおもちゃを子どもたちが特別に思っている姿が良く見られます。例えば、普通のパトカー(警らパトカー)も高速パトカーも最初は2台ずつあったのですが、高速パトカーの一方が壊れて1台だけになったとたんに高速パトカー株が急上昇。しばしば取り合いになっています。
ひとつだけを特別に思うのは、年齢的には自我に目覚める2歳前後からでしょうか?数年前に卒園したお子さんは何本かある色水入りペットボトルの中でも、キャップに伊藤園のロゴが入った緑色のジュースが大のお気に入りで、お守りのように持ち歩いていました。それは稀少性を重んじるコレクター気質からではなく、『このたったひとつのおもちゃのようにわたしは世界でただひとりの○○ちゃんなんだよ!』という思いから発しているように見えました。
個人として大切にされるという土台の上にのみ、集団に属する喜びがあることを子どもたちに教えられている気がします。

写真は今年はとても良く咲いたモッコウバラです。
     
     薔薇ノ木に
       薔薇ノ花サク
         ナニゴトノ不思議ナケレド
                    北原 白秋