遺言

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昨年秋に書評で読んで、図書館にリクエストしていた本がようやく回ってたのが2週間前。「うっ・・ぶ厚い!しかも字が小さくて2段積み・・・。新学期疲れもたまってるし、読了は無理かも・・・。」と思って、ピアノの蓋の上に放置していたのですが、(いかに我が家がちらかっているかバレバレですね)先に読んだ長男が「面白いよ。」と勧めるので、読み始めたら、すっかりハマり、1日半で読み終わりました。しゃべったものをまとめているので字は小さいけど、すいすい読めます。
基本はエヴァンゲリオンで有名なアニメ製作会社ガイナックスの創世記です。大学出たてくらいの若造が集まって、切磋琢磨しあいながらすごい仕事をしてしまうというNHK大河ドラマの幕末モノパターン。作者の岡田斗司夫氏本人も『坂の上の雲』にたとえていました。
岡田氏はじめ、庵野秀明氏(エヴァンゲリオンの監督)等のクリエーター達も1960年生まれの前後5年位に集中しているので、同じ体験をしてきた者として共感するところ大でした。アニメで言えばルパンにヤマトにガンダム、少女マンガでは花の24年組萩尾望都大島弓子山岸凉子・・・)の洗礼を受けちゃった世代。この本が出た時はまだ『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサー西崎義展氏はご存命だったことも感無量でした。好き嫌いは別として、作中に前時代の遺物然として、登場する姿は痛々しかったです。
作中に登場するアニメ資料をYou Tube で瞬時に検索できてしまうことにも感慨がありました。年譜によると岡田氏が最初にしかけたイベントはウルトラQの上映会だったようですが、「あ〜私も花の女子大生(?)の時、麻布高校生主催の上映会に行ったなぁ。」と懐かしくなりました。何を手に入れるにも、手間がかかる分、ワクワク感はずっと強かったあの時代を思い出しました。

これが、ガイナックスのルーツになった8ミリビデオだそうです。アマチュアが作ったなんて、驚きです。アマチュアだから、著作権気にせず作れたのでしょうが、テンポの良さが快感。女の子は吾妻ひでお風でかわいいし、爆発シーンが秀逸。テントの《ソラリス》に時代を感じました。