THIS IS IT

 13日の金曜日の朝9時から、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を見てきました。夫と一緒に行ったので、二人で2500円の割引料金で見られました。「どちらかが50歳以上である証明書をお見せ下さい。」と言われて、この9月に晴れて(?)50歳の仲間入りをした私はちょっぴり微妙な気分でした。出来れば夫にだけ一方的に聞いてほしかったなぁ・・・。往生際が悪い?
 『THIS IS IT』はマイケル・ジャクソンがロンドン公演にどれだけ賭けていたかがひしひしと伝わる映画でした。体がボロボロで、薬で痛みを抑えていたとはとても思えないキレの良い動き。歌って、踊って、なおかつ舞台の上でステージ全体をプロデュースしている完全主義ぶり。映画との合成シーンで「後ろ向きで合図が出せるのか?」と舞台監督に聞かれた時の「感じでわかる」という即答には痺れました。ショービジネスの第一線でずっと戦ってきた矜持を感じました。
 舞台監督が「ロックのチャーチだ。」という言い方をしていたのですが、リハーサルを見ていて、たしかにマイケルを教祖とした宗教の一大ページェントのような印象も受けました。
 〈あまりにも卓越した存在に圧倒され、ひれ伏し、歓呼の声を上げて迎えいれていたのに、意識下ではひそかに恨みや嫉妬の思いをため込んでいて、一たび風向きが変わると牙を剝く民衆〉という良くあるパターンを思い出して少しゾクリとしました。『ジーザス・クライスト・スーパースター』の映画版にもそんなシーンがありました。光がまばゆいだけに影も濃いという大スターの悲劇にはそんな理由もあるのかな?
 夫は自分がベースを弾くので、バックのミュージシャンに感情移入して見ていたようです。スタッフ全員が家族のように団結して「これまで見たことのないショー」を作るべく、未踏の場所に冒険しているバックステージ物の映画としても、とても楽しめました。不測の事態(ある意味必然でもあったのか・・・)で、現実の舞台にたどりつけなかったのは本当に残念でした。
 マイケルには長い長いBreakを安らかに過ごして欲しいです。