みんなの学校

http://minna-movie.com/
今日は渋谷で『みんなの学校』を見てきました。
大阪府住吉区にある、公立小学校を舞台とするドキュメンタリー映画です。
撮影時点では開校7年目。全校生徒220人のうち、30人を超える特別な支援を必要とする子が在籍。それでも、特別支援室はつくらず、みんなが同じ教室で学ぶ。《みんながつくる、みんなの学校、大空小》の唯一のルールは「自分がされていやなことは人にしない 言わない」こと。
子どもたちはもちろんのこと、野際陽子似の校長先生をはじめ、教職員の方々の表情の豊かなこと!大変なこともしっかり受け止めて、良い仕事をしている人の充実感がにじみ出ていました。
初めてクラスを担任した若手男性講師が子どもに怒声を浴びせて、「教育的意図をもってしているのか?自分の感情をぶつけているのか?」と校長先生に追求されるシーンでは、程度の差こそあれ、人ごとではないな・・・と過去の保育中の自分の行動のあれこれを思い出しました。そして、ほんの薄皮一枚分でも心のどこかに余裕を残せると、すごく大変な場面でも状況を面白がったり、ユーモアを発揮することが出来るのだなぁとベテランの先生方の発言や行動を見て、感心しました。うん。やっぱり笑いは大切だ。
校長先生がつぶやいた「わかったような気になるのが一番怖い。」という言葉も印象に残りました。この映画には《ネグレクト》《自閉症》《アスペルガー症候群》などの言葉は一切出てきません。言葉でくくって、わかったような気になることを周到に避けていたのだと思います。「子どもにレッテルを貼って、心の中の引き出しにしまっておしまい」というような関わりを私はしていなかっただろうか?と考えさせられました。
教室の椅子や机の足には引きずった時にいやな音がしないように、古テニスボールに切れ目を入れたものがはかせてありました。音に敏感な子への配慮です。
子どもが子ども同士の関係の中で、ぶつかり合ったり、助け合ったりして育っていく姿。最初は自分の子しか見えていなかった保護者が子どもたち全体の育ちに目が向いていく姿。「色々な子が入り混じって育ち合う小学校・中学校が10年地域に根づいていると、地域の空気が変わります。」というような事を学者さんが言っていました。それって、落語の世界!ちょっとたりない与太郎もおっちょこちょいの八つぁん、短気な熊さんもまるごと受けとめられて、安心して居られる長屋ワールド。多様性を受け入れることはギスギスする一方の日本社会へのひとつの処方箋だと思いました。
入学時に「あの子が行くのなら、大空小はやめとこう」という噂がたてられるほどの乱暴者で、6年生になっても、両親ともに早朝から働いているため、朝起きられず遅刻がたびかさなっていたカズキ君。晴れの卒業式にもまったくの普段着(しかもズボンには大きなしみが・・・)で登校せざるを得なかった子の瞳をしっかり見つめ、校長先生が贈った《自分のためにがんばれ!》という言葉の重さに涙がとまりませんでした。花粉症シーズンは泣いても鼻をすすっても「だって、花粉症なんだもん。」って顔をできるので、普段より泣きやすいです(笑)幸いまだ花粉症じゃないけどね。