狂言の会
- 作者: 野村萬斎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/01/04
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
万作の会のHPに載っていたあらすじは以下です。
田舎者が村に草堂を建立したが、堂守がいないので街道に出て探していると、そこへ僧と新発意がやってくる。早速連れて帰るのだが、実はこの二人、博奕で食いつぶした主従だった。法事が始まり、僧は賭場で聞き覚えた傘の小歌をお経のように唱えて参詣人をごまかして、その隙に新発意に施物を盗ませようとするのだが…。
中世ののどかな様子が窺い知れるおかしみのある曲です。
*
ニセの僧は人間国宝 野村万作氏。昔ネスカフェ ゴールドブレンドのCMで《違いのわかる男》をなさっていました。王貞治氏に面ざしが似て、求道者の雰囲気。お経はあやしいのですが、押し出しは高僧そのものでした。その家来の小傘を背負った新発意は怪しさ全開。「もののけ姫」のジコ坊や唐傘連を思い出しちゃいました。
田舎者と参詣人の男たちは色違いのお揃いの衣装で、戦隊モノ風。狂言は筋はわかりやすいし、ヴィジュアル面も面白いし、声と動きの魅力もすばらしい、眠さとは無縁の伝統芸能でした。一度舞台に上った登場人物が、場面が変わって本来その場にいない人物になっても、気配を消し、無表情に座って次の登場場面を待っているのも面白かったです。
石田幸雄さんの尼がコミカルで秀逸でした。腰を海老のように曲げて、身体を小さく見せる身体技法が凄すぎ!日頃の修練の賜物なのでしょうね。
『狂言サイボーグ』は狂言に演劇に世田谷パブリックシアターの芸術監督に大活躍の野村萬斎氏のエッセイです。萬斎さんと言えば『あぐり』のエイスケさんが忘れられないカッコよさでした。(ミーハーでごめんなさい)