《勁さ》について


《勁草》というのは風に強い草のことだそうです。東日本大震災の被災地を思う時、何故か一番にこの言葉が頭に思い浮かびます。たとえば、浜辺の砂地に生える草。大地に根を張って、頭を低くして風に耐える草。
勁草の勁は強いという意味。字の形はピンと縦糸を張る姿から出ているそうですが、草にはピンと張りつめた強さより、しなやかな強さを連想します。

しなやかに粘り強く生きること。


宮城県の被災地で頭を垂れる天皇皇后両陛下のお姿は高砂の翁・媼のようだと思いました。建前では天皇制と宗教は別個のものですが、魂鎮めと日本の天地を寿ぐ祭司はやはりこの方たちの他にはいないのだなぁとTVを見ながら思いがけず敬虔な気持ちになってしまいました。
英国王のスピーチ』の映画では、国威発揚のためにジョージ2世は言葉で表現することを要求されていましたが、天皇は雄弁ではなく、思いを内に籠めることで国民とより深くつながっている気がします。やはり日本は《秘するが花》の国なのかな。