おもてなしの心


こんな話を聞きました。

3月11日にたまたま遠足で上野の博物館に行っていた、あきる野市認証保育所の園長さんと保育士さんと子どもたちは中央線が新宿駅に入ったところで地震に遭遇したそうです。車中で何の指示も情報もなく待つこと1時間。ようやく出たJRの指示は「電車から降りて駅から出て下さい。」のみ。
そこで園長氏はタクシーを拾うべく、揃って京王プラザホテルに移動したそうです。都庁の前を通ったそうですが、なんとその時点では都庁は外来者を封鎖中。帰宅難民に施設を開放したのは、その後時間がたってからの判断だったみたいですよ。
園長と男性保育士がタクシー乗り場に並んでいる間、子どもたちと女性保育士は京王プラザホテル内で休ませてもらっていたそうです。ロビーやバンケットルームを宿泊客や利用者以外の人たちにも開放し、お年寄りや子どもたちにはさりげなく水を運んだりしてホスピタビリティーを発揮していたのだそうです。
結局タクシーはつかまらなかったのですが、あきる野市から運送業を営む保護者の御夫婦が車を駆って迎えにきてくれたのが午前2時だったそうです。
テルマンに「本当にお世話になりました。」とお礼を言うと、「いえいえ。困った時はお互いさまですから。」と答えてくれたそうです。
目の前のお客様をおもてなしする心から出ている行動とお役所的センスの行動は非常時にはっきりと違いが出るもののようです。

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4月17日にふじみ野市の個人のお宅で開催された、チャリティー茶会に参加させていただきました。茶道は裏千家のお師匠さんのところでほんの数カ月齧っただけで、何もかも忘れはてているのですが、掛け軸、茶花、香合、茶碗、茶釜、水入れ、茶杓、茶入れ・・・とテーマを持って取り合わせる編集感覚が面白いなぁと思っていました。クリエイターよりも時には裏方の編集者やプロデューサーに興味が行く私の嗜好にぴったりです(笑)
大徳寺聚光院 枡床の席の写しのお茶室(4畳半)でお濃茶をいただきました。待合からわらじにはきかえて露地を歩いたのも、小さなにじり口から体をかがめてお茶室に入ったのも初体験。非日常への回路として本当に良く考えられているなぁと思いました。
もてなし、もてなされること。一期一会。大震災の日以来、ざわついていた心が作法を知らないのでオロオロしていたにもかかわらず、しんと鎮まりました。
何も知らない私を誘ってくれて、何くれとサポートして下さったOさんに感謝!の経験でした。
写真は白山吹。花びらが4枚なので普通の黄色い山吹(五弁花)とは違う種類だそうです。

こちらはスノードロップ お散歩の時、2歳児男子がよその庭を腰をかがめて見ていたので、何かな?と思ったら、この花を下から見上げていたのでした。