抱擁、あるいはライスには塩を

抱擁、あるいはライスには塩を

抱擁、あるいはライスには塩を

普段は図書館で借りてきた本ばかり読んでいるのですが、この本は友達のFさんから貸してもらったので、まずは装丁の美しさを堪能できました。中身も面白かったし、文章が美しかったので、小説を読む楽しみを久しぶりに満喫しました。映画化するとしたら、豊彦さんは堺雅人かなぁ?百合は中谷美紀。陸子はちょっとキレイすぎるけど蒼井優がいいな。菊乃はちょうど良い人が浮かびません。若き日の原節子
この小説、私のカテゴリーでは《たてもの小説》に分類されます。物語の舞台である建築物も主役級の存在感をもっているので・・・。北杜夫の『楡家の人々』や森茉莉の『枯葉の寝床』もそこに入ります。『抱擁、あるいはライスには塩を』の舞台は神谷町。『楡家の人々』は青山。久しぶりに『楡家の人々』を読み直したくなりました。あの頃の新潮社純文学書き下ろしシリーズはしっかりした箱入りで、本にはパラフィン紙のカバーがついていました。パラフィン紙は読む時は邪魔でしたが、半透明の質感が大好きでした。最初に好きになった小説家が北杜夫だったので、新潮社の装丁が私にとっての基本ラインになった感があります。文庫本にも紐の栞がついていることもポイント高いです!一番好きな村上春樹本は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』なのですが、これも新潮社で箱入り、パラフィン紙のカバー、薄いピンク色の布張りの装丁です。愛書家というほどではありませんが、モノとしても美しく中味と調和がとれている本には魅力を感じます。