東西狂言の会@三鷹公会堂

 新型インフルエンザのせいか?はたまた不景気のせいか?数日前にも主催者から「少しですが、まだ席があります」というメルマガが届いていた東西狂言の会。当日券も販売していたようですが、ほぼ満席になっていました。良かった。良かった。
 三鷹公会堂は古くて(1965完成)、イマドキ珍しい野球場のようなぼろっちい椅子だなぁ・・・と思うけど、どの席からでも舞台が良く見えるので大好きです。柳家小三治独演会では、鈴木プロデューサーが引き連れた(?)スタジオジブリご一行さまを何度かお見受けしました。小三治さんも志の輔さんもここはすごくやりやすいと褒めていました。今日も狂言がはじまる前に野村萬斎さんが30分間解説をしてくれて、最後に「蝸牛」の囃子言葉をレクチャーしてくれたのですが、「こんなにお客さんが大きな声で熱心に練習してくれたのははじめてかも?」と言っていました。客席の雰囲気が良くなる劇場なのだと思います。冬は前の方の客席にすきま風が吹いてきたりするけれど、建て替えたりしないで、このままでがんばってほしいな〜。
 以前から三鷹市芸術文化振興財団主催の落語会では、男性職員が携帯電話・アラームつき時計の電源をお切り下さいからはじまって、コンビニのビニール袋のカサカサいう音は気になるものなので、足元に置き、手元すっきりでお楽しみ下さい。お連れさまと小声で話すのはやめてください。後ろのお客さまが見ずらくなるのでできれば帽子はぬいでください・・・と名調子でアナウンスしていたのですが、今日は女性の声でほぼ同じ懇切丁寧な注意が開演前にアナウンスされて、一緒に行った長男・長女に妙にウケていました。「あれって冗談かと思ったよ。」と長男は言っていましたが、“アンケートに開演前の諸注意が良いと書いた人がいるに違いない”というのが私の推理です。「座高の高い方は猫背になって見てください。アフロヘアーの方は髪を切ってきてください。」と勝手に続編を考えて遊んでいたバカ親子でした。
 今日の演目は「附子(ぶす)」「濯ぎ川」「蝸牛」でした。「附子」は筋道が立った可笑しさ、「蝸牛」はシュールな可笑しさで笑いの質が違っていて興味深かったです。「濯ぎ川」はフランスの笑話をヒントに飯沢匡さんが作った新作狂言だそうです。私はアーノルド・ローベルのがまくんとかえるくんの「よていひょう」を思い出しました。
 終演後小学生の男の子が、「雨も風も吹かぬのに 出ざ(出ないなら)釜 打ち割ろう」とさっそく囃子言葉を唱えながら階段を降りてきたのが印象的でした。「にほんごであそぼ」の「ややこしや〜」のフレーズも子どもたちは大好きです。はやしているうちにドーパミンが出てきてハイになってくるのでしょう。ラヴェルボレロにも似た効果がありますね。「蝸牛」の登場人物は山伏・太郎冠者・主人の三人だけで、最後は全員ではやしながら橋掛りを退場していくのですが、たった三人なのにまるでお祭りのパレードのようなテンションでした。芸の力はすごいです。