いいうたいろいろ@ラ・カーニャ

一期一会II

一期一会II

昨日は娘と下北沢のラ・カーニャ沢知恵さんの秋公演を聴いてきました。
オープニングはアカペラで『虫の声』。いいな〜文部省唱歌。1910年初出だそうです。
虫の声といえば、先日つれあいに「西洋人は虫の声を聴く習慣がないらしいよ。本当かな?」と話したら、「ねぇ。ねぇ。鉄腕アトムって高田馬場で生まれたんだってね。本を読んで初めて知ったんだけど、そしたら、高田馬場の発車チャイムが《鉄腕アトム》だったってことにも初めて気がついた!」と電車の中で女の子が彼氏(?)に熱弁をふるっていたそうです。意識してないと、全然聴こえてこない音ってあるのかもしれませんね。
ライブの圧巻は、先月逝去された塔和子さんに捧げる歌でした。塔さんが一番好きだとおっしゃっていた『故郷(ふるさと)』(こちらは1914年初出の文部省唱歌)私は東日本大震災以降、この曲を聴くと半ば自動的に涙してしまいます。作詞者が長野県人のせいか、故郷の風景が目に浮かんできます。この曲が国歌だったら良かったのに・・・。そして、愛らしい『はじらい』、中村哲さんとのcall&responseで発光しているみたいだった『胸の泉に』。明日までですがNHKが塔和子さんと沢知恵さんを取材した番組を無料公開しています。
http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/1700/166151.html
塔和子さんは13歳から83歳までの70年間を大島青松園で過ごされたそうです。
家や施設の角々に目の不自由な方のために流れていた音楽。時間が浮遊しているような不思議な雰囲気。海から引き揚げられたコンクリート製の解剖台を見せてもらった時に感じた《人間はひどい間違いを犯すことがあることを忘れてはいけないな》という思いが蘇りました。ところどころに貝殻が付着した解剖台はわずかに傾斜していて、血液を洗い流すための穴が真ん中にあいていました。行われた解剖はほとんど必要のないもので、死者に包帯を巻いて、納棺するのは患者さん達の仕事だったそうです。

上の写真は大島青松園内で撮影しました。誰のお仕事かな?